戦略特区のエリア・条件
一般的に宿泊料金を設定して施設を利用させることは「旅館業」に該当し、旅館業法の他、消防法、風営法に則って届出・運営をしなければなりません。
例えば、テロ未然防止のためにフロントを設置したり、外国籍利用者の場合にはパスポートを複写して保存したり、万が一法令違反が疑われる場合には立入検査や罰則の設定などもあります。
戦略特区内では上記のような制限は無くなり、一定条件を満たしてしまえば 一般の方が所有している物件(マンションの空き部屋や空き家など)を宿泊施設として観光客などに貸し出すことができるようになります。
この特例が適用される戦略特区は下記エリアとなります。
1.東京圏(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、2.神奈川県全域、千葉県成田市)
3.関西圏(京都府、大阪府、兵庫県)
4.沖縄県
5.兵庫県養父市
6.福岡県福岡市
上記エリアの他にも東京都で目黒区、中野区、台東区など9区、宮城県仙台市、秋田県仙北市が今後対象エリアに追加される見込みです。
(残念ながら、私の住む愛媛県松山市はエリア外です。トホホ…)
この旅館業法の適用除外条件は下記の通りとなり、この基本条件に 特区毎のローカルルールがプラスされます。
・賃貸借契約に基づき使用させること
・宿泊日数が7泊~10泊の連泊であること
・専有面積25㎡以上であること
・出入口、窓が施錠可能な状態であること
・他の居室との協会が壁作りであること
・換気、採光、照明、防湿、排水、冷暖房の設備が設置されていること
・寝具、台所、便所、家電が設置されていること
・外国語の利用規則、緊急時マニュアルが準備されていること
エリア、条件に該当する物件で旅館業法適用除外申請を行うことにより、通常賃貸契約を募集している隙間時間でも「宿泊(契約自体は短期賃貸借契約ですが)」による収益が見込めるようになり 総合的な収入増加が見込めます。
また 特区毎のローカルルールの中には最低宿泊数4泊、一部設備が共用でも許可するなどの緩和措置なども検討中とのことで実際の運用時にはより参入障壁が低くなることが予想されます。
そもそも旅館業法は、戦後施行されてから60年以上経過する法律であるが、必要設備数、申請手続基準、有効面積などの基本的な部分には改正が行われておらず、インターネットが普及し、多くの外国人旅行客が訪日するようになった現代の旅館業界に 必ずしもマッチングしているとはいえず、この戦略特区の運用を機に新しい法解釈を示したり条文改正が行われるのではないかと期待されます。